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統計知識とデータ分析技能を証明する資格ビジネス統計スペシャリスト

教育機関の活用事例

ビジネス統計スペシャリスト

高知県立高知国際中学校・高等学校

DXハイスクール採択校として、授業でビジネス統計スペシャリストを活用
授業実績がきっかけとなり、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)認定校として採択

四国で初の国際バカロレア(IB)認定校である高知県立高知国際中学校・高等学校。2024年にDXハイスクールに認定され、高等学校では全国で初めてビジネス統計スペシャリスト(以下、ビジ統)を授業に採用。さらに2025年にはスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校に認定されるなど、情報・IT関連の基礎スキル修得にも力を注いでいる同校における「ビジ統」導入の経緯とその取り組み内容についてお聞きしました。

高知県高知市鴨部にある学校入口。高知県立高知南中学校・高等学校と高知県立高知西高等学校を母体に、2018年に中学校が、2021年に高等学校が開校

ビジネス統計スペシャリスト活用のきっかけを教えてください

当校のすべての生徒が、授業「総合的な探究の時間」のなかで、サイエンス、スポーツ、医療・看護、地域創生などの各分野において、それぞれの興味・関心に基づいた探究を行っています。探究結果は、県内外の教育機関等の方々の前で『探究成果発表会』として年度末に発表され、大学の先生をはじめとする多くの方々に講評いただきますが、そのなかに「根拠や裏づけなどのエビデンスを、もっと意識してみては」という助言がありました。以前から当校では、「生徒にデータサイエンスに基づいた研究や探究を進めてほしい」と考えており、DXハイスクール(※1)申請を進め、2024年度に採択されました。デジタル社会で不可欠なデータ活用能力についていろいろ調べるなかで、データサイエンス初学者がデータ分析を学ぶのに最適な資格としてビジネス統計スペシャリストのことを知ったのが最初のきっかけです。

※1|文部科学省が実施する、高校段階におけるデジタル人材育成の強化を目的とした事業(高等学校DX加速化推進事業)。

DXハイスクール校として、「ビジ統」をどのように活用したのですか

DXハイスクール校には、情報や数学などの教育を重視するカリキュラムの実施やICTを活用した文理横断的・探究的な学びを強化するために必要な環境整備が求められます。ハイスペックなパソコンや3DプリンターといったICT機器などのハード面とは別に、当校はソフト面としてすべての生徒がデータを正しく分析して解釈できるデータサイエンス的な素養を身につけてほしいと考えました。現在の「情報」の授業では、ITリテラシーやプログラミングに触れはしますが、Officeアプリの知識や使い方はまったく学びません。ところが、社会に出るとExcelスキルは多くの企業で必要とされます。「ビジ統」はExcelを利用したデータ分析力を習得できる資格試験であり、学習内容も教材として体系化されており、資格試験自体を学習後の効果測定としても活用できます。

そこで、デジタル・理数分野の能力向上の第一歩として、「ビジ統」基礎レベルのエクセル分析 一般(※2)を高校2年生の「情報l」の後期授業11コマ(1コマ50分)に採用しました。学習教材には公式テキストとWEB模擬テストを利用し、校内のPCルームで講義とともにパソコンを使った実技演習も実施。授業終了から約1カ月後の3月上旬、2年生全員(270名)が学内で「ビジ統」のエクセル分析(一般)を受験するというかたちで活用しました。

※2|「エクセル分析ベーシック」の科目名と教材名は2025年5月に「エクセル分析 一般」に変更。

授業・受験終了後の反応や学習効果はいかがでしたか

授業終了後、生徒にアンケートをとったところ、

・ 「Excelを使ったデータ分析を自分の研究などに活かせると感じた」

・ 「将来、データ分析を行う機会がきたときに活用できる知識を得ることができた。Excelなどの便利なツールは上手く使いこなせるといろいろ役立つと思うので、これからも学んでいきたい」

・ 「データ分析がより楽しくなった」

・ 「資格の勉強ができるのは良かった。将来に使える授業内容が多く、ためになると思った」

などの回答が寄せられ、「今後もデータサイエンスを学びたい」と回答した生徒が約7割を占める結果になりました(下図参照)。

また、2024年度末の『探究成果発表会』は、必要なデータの集め方や分析設計、一目でわかる表やグラフ加工など、「ビジ統」の授業で培った内容が反映された発表になっており、「昨年度よりかなりレベルが上がっている」と講評いただきました。発表会には、高校1年生や併設中学校の生徒も参加しており、先輩の発表内容からデータ利活用の重要性を実感した下級生も多く、「ビジ統」の学習効果は今後広く波及していくことが期待されます。

■「今後もデータサイエンスを学びたいか」
[出典|履修後のアンケート回答結果より]

今後の「ビジ統」活用予定をお聞かせください

「ビジ統」を活用したDXハイスクールとしての取り組みをさらに進め、2025年に当校は、県内で2校目となるスーパーサイエンスハイスクール(SSH)校に、文理融合基礎枠(※3)で認定されました。『0から1を創造できるグローバル・イノベーション・リーダーの育成』を研究開発課題とし、常識にとらわれない視点で世の中を見る「哲学的思考(主観)」と、エビデンスに基づき科学的に思考する「科学的アプロ―チ(客観)」を掛けあわせることで、社会の諸問題を主体的に探究できる資質・能力をもった人材の育成を目指していきます。

中高一貫校であり国際バカロレア(IB)校でもある当校では、探究活動を柱に、IBプログラム(※4)の要素を取り入れた課題探究型学習を推進しています。課題を深掘りして探究するうえでは、解決に結びつけていくためのデータ利活用能力は不可欠です。この力を養うためにも「ビジ統」はこれからも継続して授業に取り入れていきたいと考えています。SSH校として具体的にどう活用するかはこれから固めていきますが、今後は「ビジ統」の試験結果も授業評価に盛り込もうと考えています。客観的指標がある資格試験であり、結果は明確な数値として示すことができるため、学習効果を測るうえでも有効活用できるでしょう。

SSH校&IB校として、より良い社会を創造するうえで欠かせないデータサイエンス力と国際的な視野や英語運用能力を兼ね備えた、グローバル・イノベーション・リーダーの育成につなげていきます。

※3|科学技術人材の育成を目的に、文部科学省が先進的な理数系教育や文理融合型教育に取り組む高校の研究開発や実践活動を支援する制度。対象となる高校は、理数系教育に取り組む「基礎枠」、文理融合型教育に取り組む「文理融合基礎枠」、理数系や文理融合型に科学技術人材育成に向けた特別な取組みを行う「科学技術人材育成重点枠」の3つの枠がある。 [出典:文部科学省HPより:https://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/gakkou/1309941.htm

※4|IBのカリキュラムは、「生徒の批判的思考力」「問題解決能力」「コミュニケーション能力」を育むように設計されている

※掲載内容は、2025年4月取材時のものです。

学校情報

  • 高知県立高知国際中学校・高等学校
  • 所在地 :高知県高知市鴨部2丁目5番70号
  • 設 立 :2017年(平成29年)
  • 生徒数 :796名(1年生/257名、2年生/274名、3年生/265名|普通科/ 563名、グローバル科/233名)
    ※2025年5月1日時点

高知県立高知国際中学校・高等学校は、高知南中学校・高等学校と高知西高等学校が統合してできた中高一貫教育校(2018年に中学校が、2020年に高等学校が開校)。四国で初めての「国際バカロレア(IB)」認定校(2020年11月に中学校がMYP、2021年1月に高等学校がDP)※として、地域や国際社会の発展に貢献できるグローバル人材の育成を目指し、中高で国際バカロレア教育を実践している。併せて、高等学校は2024年に「DXハイスクール」、2025年に「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」指定校として認定。データサイエンスをはじめとした国際的な科学技術人材の育成にも力を注いでいる。

※「国際バカロレア(IB)」のMYPとDP
MYP(11~16歳が対象)学びの基礎を築きつつ、批判的な思考や問題解決力を育成。DP(16~19歳が対象)大学進学を見据えた高度な教育を提供。高校卒業資格とIB資格(ディプロマ)の両方を取得。

[取材ご協力]
高知国際高等学校 校長 髙野 和幸 氏
高知国際高等学校 副校長 岩河 忠信 氏
高知国際高等学校 情報科教員 諏訪 敏樹 氏
高知県教育委員会事務局高等学校課長  麻植 隆久 氏(前年度副校長)

高知県高知国際中学校・高等学校ホームページへ

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